パニック障害と原因「脳の誤作動やセロトニン不足がパニック障害の原因?」

公開日: : 最終更新日:2014/09/29 パニック障害とは ,

脳の誤作動説?セロトニン不足説?

baaka
パニック障害の原因は脳の誤作動とか脳内化学物質の異常と言われることが多いですよね。

最もポピュラーなのが「セロトニンが不足している」というお話です。

でも、パニック障害と薬2のところでもお話ししてますが、パニック障害の人がセロトニンが不足しているか、不足していないかということは実はハッキリわかっていません。

逆にセロトニンが過剰なんじゃないかという仮説もあります。

そうなるとSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の役割とされている、セロトニンを脳内に満たしてセロトニン量を増やして不安を減らすというお話も矛盾してしまいます。

ということは、脳内のセロトニンを増やすという名目で投与されているSSRIも実はどのように効果があるのかはっきりわかっていないということになります。

SSRIを飲むと、なんとなくぼや~っとして、不安な気持ちが少なくなることは多いですけどね。

パニック障害の原因として「セロトニンが不足している」というお話は、製薬会社が薬を売るために仕掛けたマーケティングのひとつなので、そこを加味して判断してください。

脳の誤作動が定着=パニック障害

ちょっと話がそれましたが、それでも脳が誤作動している状態=パニック障害というのは間違いないでしょう。

ただ、脳の誤作動がパニック障害の根本原因ではないと考えます。

ほかに原因があって、その結果として脳の誤作動が起こっているのです。

だって、それまで普通に働いてくれてた脳が何の前触れもなく、ある日突然誤作動するなんてことは考えにくいですよね。

人間の体は僕が知っているだけでも、僕らが想像できないぐらいには精密な仕組みになっているので、訳もなく壊れたりすることはそうそうあるもんじゃないです。

脳の誤作動が起こる前には、原因があるのです。

しかし、不思議なことに「脳の誤作動」がなぜ起こるかということはほとんど語られることがありません。

パニック障害の原因=脳の誤作動=薬で誤作動を訂正 という話ばかりです。

不思議だな~、不思議だな~。

じゃあホントの原因とは?

遺伝・生育環境⇒性格が原因?

パニック障害になるのは遺伝やその人が育った環境、それらが影響してできる個人の性格というものも多分に関係します。

しかし、それらが原因の全てではありません。

ものすごく怖がりで不安が強い人ばかりがパニック障害になるとは限らないからです(悲しいことにそういった人がパニック障害になりやすいことは間違いないですが)。

パニック障害のスタート(原因)はトラウマ・軽トラウマ

パニック障害になる原因のほとんどは、トラウマ・軽トラウマとなる経験がスタートです。

「軽トラウマ」というのは僕の造語です。

トラウマというのは「生死に関わるような体験」と定義されますので、トラウマよりは軽いといった意味合いを含めて使います。

パニック障害はトラウマからなる方もいらっしゃいますが、そこまで強烈な体験でなくてもパニック障害になる人はたくさんいるので「軽トラウマ」と区別しました。

イベント(出来事)⇒強烈なショック⇒心の傷となる⇒トラウマ

トラウマ・軽トラウマというのは何らかのイベント(出来事)が発生して、それによって強い衝撃を受け、心の傷となり残ったものです。

重要なのは、イベント(出来事)が強烈なものだったからと言って、100人が100人トラウマになることはないということです。

その逆もまた然りで、ほんとうに大したことのないイベント(出来事)でも、軽トラウマになってしまうこともあります。

ここで関係してくるのが、その人の遺伝的体質や環境、性格といったものと、その人のその時の状態です。

前者は語り尽くされた感もあるし、感覚的にもわかると思いますが、後者は案外語られていません。

イベント(出来事)の強弱とその人の状態の善し悪し

どういうことかと言いますと、例えば強烈なイベントが起こったとします。

今回は、何の前触れもなくいきなりリストラされたとしましょう。

朝、会社に行ったら机の上に「あんたクビ」と書いた辞令が置いてあったとしましょう。

lgi01a201402051800

そんな時に、普通の会社員だったらとんでもない衝撃を受けるでしょうし、とんでもないイベント(出来事)が起こったと捉えてトラウマになるかも知れません。

しかし、こんな時代だし何が起こるかわからないと常々考え、自分の力を高め続け、自分でお金を稼ぐ力があるマイノリティな会社員なら「あ、そう」で終わってしまうイベント(出来事)になるのです。

もしくは、人によっては何でもないイベントが起こったとします。

朝、満員電車に乗るということにします。

普通のある程度元気な状態なら「きっついな~」とは思っても、特に何もない日常のイベントです。

ただ、毎日サービス残業で寝不足が続き心身ともに疲れ果て、まともに立ってもいられない状態で満員電車に乗ったとしたら、「満員電車に乗る」ということが大きなイベントになることもあります。

このように、イベントの強烈さと、その人のその時の状態のバランス・関係性によってトラウマ・軽トラウマになるかどうかが決まります。

そして多くの場合パニック障害の原因はこのトラウマ・軽トラウマから始まります。

トラウマ・軽トラウマは普通は回復する

ただこういったトラウマ・軽トラウマになってしまった場合でも、普通はある程度の期間が経過すれば回復していきます(特に軽トラウマは)。

信じられないような非常にショックな体験をしても、泣いたり、人に話をしたり、休んだり、時間が経過したりしてその出来事に対して自分なりに折り合いをつけて生きていけるようになるのが普通です。

しかし、そこでトラウマ・軽トラウマを上手く処理できなくて長いことひきづってしまうと大変です。

時間の経過とともにその状態が”普通の状態”として定着してしまうのです。

定着してしまうとトラウマの場合はPTSDと呼ばれる病気になることが多く(もちろんパニック障害も多いでしょう)、軽トラウマの場合はパニック障害になることが多いです。

そして、そのトラウマ・軽トラウマとなってしまった出来事が、ほかの場合にも起こるのではないかと考えたり、想像すること(汎化)で過敏になり、より一層症状は悪化していきます。

こういった状態が続くと、”過敏な状態が普通”になってしまい”脳も構造的に変化”してしまい、ここではじめて「脳が誤作動状態」になります。

無意識・潜在意識

原因についてはそれぞれ異なるが、当人のそれまでの経験から心理的あるいは身体的に危険だと察知した状態の場合、潜在意識が「発作」を起こす事で顕在意識に再認識させるために起こす症状。

これは、パニック障害のウィキペディアの原因のところに書いてあった文です(ウィキペディアも役に立つようになったものです)。

そして、ウィキペディアにも書いてあるように「脳の誤作動状態」になっている脳というのは僕らが無意識とか潜在意識とか呼んでいる部分です。

よく人間は脳の数%しか使っていないと言われますが、その数%とは意識とか顕在意識の方で、僕らが認識できる方です。
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しかし、「誤作動状態」になっているのは僕らがほぼ手を出すことができない方の脳ですからやっかいです。

ただ、無意識の方も悪気があってやっているわけではありません。

無意識は普段働いていないと言われがちですが、僕らが意識してしまったら到底やっていけなくなるような裏方の仕事を日々黙々とこなしてくれてるらしいです。

ひどいことを思い出させなかったり、嫌なものを見せなかったり、色々と便宜を図ってくれてます。

無意識はただただ生存に優位(その場しのぎですが)な方へと僕らを導こうとしてくれてるだけなのです。

以前に出会った衝撃的な出来事からは、一目散に逃げ出せと言ってくれているのです。

だから、無意識を嫌いになるのではなく、上手に付き合っていく方向でやっていきましょう。

パニック障害の原因のまとめ

パニック障害とは何らかのイベント(出来事)が起こった時に、それを受け止める状態になくトラウマ・軽トラウマになり、その後トラウマ・軽トラウマの処理がうまくいかなかった時に、その状態(過敏)が定着してしまったものです。

過敏になってしまうことによって、無意識(本能と言ってもいいかも知れない)による防衛反応が過剰になっているわけだから修正するのはなかなか難しいです。

僕が考える解決法、改善法、克服法はまた他の記事でお話します。

最後に

ここまで、パニック障害の原因としてお話してきましたが、このお話は僕の20年間のパニック障害の経験とその間に勉強してきたことを根拠としています。

よって、人によっては全然当てはまらない場合もあるかと思いますが、そこはご容赦ください。

ただ、20年間腑に落ちなかったものが最近トラウマの本を読むことによって、頭の中がまとまりスッキリしたので、あながちこのお話が荒唐無稽とは思えません。

けっこういい線まで行っていると期待して終了とさせていただきます。

<主な参考文献>

水島広子(2011)『IPT対人関係療法でなおすトラウマ・PTSD』創元社
リサ・ルイス、ケイ・ケリー、ジョン・G・アレン(2012)『トラウマを乗り越えるためのガイド』創元社
池谷裕二(2013)『単純な脳、複雑な「私」』講談社

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