パニック障害と小谷野栄一「パニック障害で吐きながらでもプロ野球選手はできる!」
公開日:
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最終更新日:2014/10/15
パニック障害と芸能人 小谷野栄一
北の打点王「小谷野栄一」
小谷野栄一とは北海道日本ハムファイターズに所属するプロ野球選手で、タレントの亜咲美(山内麻美)と結婚しています。
数日前に僕のやってる「プロ野球マックス」というゲームで、カルロス・ロサとの電撃トレードの末に獲得した選手でもあります(ちょー嬉しかったです)。
僕は20年ぶりぐらいに復帰したドラゴンズファンなので、小谷野選手のことを詳しくは知りませんが、2010年には打点王を獲得したこともある1流のプレーヤーです。
その後2年は怪我の影響もあって、調子を落としたようですが2013年はかなり持ち直しました。
2014年は開幕当初は不調で、さらには5月に怪我をしていまい2ヶ月戦列を離れましたが、7月に復帰後は復調し84試合(274打席)に出場しシーズン通算打率.296と規定打席には達していないもののチームトップの打率を残しています。
ただ、絶対的なレギュラーというわけではなく近藤健介選手との併用だったようです。
それでも、オリックスとのクライマックスシリーズではファーストでスタメン出場しており3試合で打率5割(14打数7安打)と驚異的な数字を残しシリーズ突破に大きく貢献しました。
異常な勝負強さは、まだまだ健在なようです。
小谷野選手のパニック障害の発症
そんな華々しい経歴を持つ小谷野選手がパニック障害になったのは、まだ2軍の選手だった2006年のことです。
小谷野選手はもともと緊張しやすかったり不安に襲われがちだったらしいですが、ある日の2軍の試合で体調が悪かった小谷野選手は、打席に立とうとした時に突然吐いてしまいます。
呼吸も苦しくなり、パニックになるという恐ろしい経験をします。
そこから思考の悪循環が始まり打席に向かおうとするたびに「また吐いてしまうのでは?」と考え、実際に吐いてしまうことも多かったそうです。
そうして、徐々に2軍の試合にも出られないようになり、練習にも参加できず寮にこもる日々となったのです。
大好きな野球ができなくなり、このままではプロ野球選手もやめなければならないと思いつめた小谷野選手は寮にいても居場所がなく、丸四日間一睡もできないこともあったそうです。
小谷野選手の回復を支えたのは
しかし、小谷野選手は様々な人々に支えられて短期間でここから這い上がります。
「寮の食事はほとんど喉を通らないような状況だったのに、家ではカレーライスをおかわりしてまで食べました」
という話からもわかるように、家族がパニック障害になってしまった小谷野選手に暖かく接してくれたようです。
両親の「いつでも辞めて帰っておいで」という言葉は、気持ちをかなり楽にしたことでしょう。
さらに、小谷野選手は幸運にも恵まれます。
その年日本ハムファイターズはヒルマン監督のもとパ・リーグを制覇し、日本シリーズに出場することになったのです。
日本シリーズは通常よりも選手をたくさん1軍に登録していいので、なんと2軍の試合に出場する選手がいなくなってしまったのです。
そうした経緯から、練習もまともにできないような状態だった小谷野選手も強引に試合に出場することになりました。
そこで、当時の2軍コーチの福良淳一さんが言った言葉が小谷野選手を救います。
「何回タイムかけてもいいし、何回吐いてもいい。何回倒れてもいい。打席に立つまでに何分かけてもいい。なんだったら、バットを振らなくてもいい。だから、とにかく打席に立て。まずはそこから始めようやないか。どうせみんな日本シリーズに行ってしまっているし、誰も観てないから。」
その言葉で気が楽になった小谷野選手は「どうせ今シーズン限りでクビになるだろうし、プロの世界で野球を楽しむ最後のチャンスだ」と開き直りました。
パニック障害で吐きながらでもプロ野球選手はできる!
開き直った小谷野選手は眠れない、食べれない、打席に立つときは吐き気、めまいがするという状況ながらも、1ヶ月に渡り2軍の試合で大活躍をします。
そして、それが自信になり「吐きながらでも野球をやれるんじゃないか」という心境に至ったそうです。
小谷野選手にとってはこの早期の荒療治がパニック障害の克服に効果的だったのでしょう。
翌2007年には初めて1軍で活躍し、2008、2009のシーズンも成績を上げて、2010年のタイトル獲得へとつなげます。
こうした結果を残せたのは、本人の努力、周りの支えもあったのでしょうが、僕はパニック障害との闘病という経験が小谷野選手を成長させたという面もあったのではと思います。
「パニックによって小さな逆境に負けなくなった」
「プロとして野球が出来るだけでもありがたい」
という言葉が如実に物語っています。
そして、自分が頑張ることで、活躍することで、
「パニック障害という病気を抱えながらもプロ野球選手としてやっていけるんだということを証明し、同じ病気の人を勇気づけたい」
という気持ちが、プロ野球選手としての飛躍を生んだのでしょう。
最後に
今でも小谷野選手はパニック障害の症状と闘いながらプレーを続けており、下の動画のように時折苦しい状況に陥ることもあるようです。
パニックの症状に襲われながら打席に立つってホントすごいですよね。
今年はかなり復調したので、来年はもう一度タイトル争いをするような大活躍をして欲しいです。
そして、「パニック障害で吐きながらでもプロ野球選手として活躍できる」ということを存分に証明してください。
頑張れ!こやのん!!
参照:小谷野栄一(2010)『心で勝つ 技で勝つ』潮出版社
追伸:いつかパニック障害の人で小谷野選手を応援するツアーとかできたらいいのにな。
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